プレイステーションの闇に触れる覚悟はあるか?綾辻行人が放つ超濃厚ホラーサウンドノベル『黒ノ十三』

1996年にトンキンハウスから発売されたプレイステーション用ソフト『黒ノ十三』。
ジャンル:サウンドノベル(ホラー、アドベンチャー)
参考価格:中古ソフト 1,470円
プレイ時間:約20時間
おすすめポイント:『世にも奇妙な物語』のようなゾクゾクする話が好きなら、絶対にハマる!
最近は、昔から気になっていたレトロゲームを次々とプレイしています。
今回、ついに念願の『黒ノ十三』を手に入れました。
この作品、以前から存在は知っていたものの、
店頭で見たことが一度もなかったため、長らく遊べずにいました。
このゲームの監修は、
ミステリー作家の綾辻行人氏。
そんな彼が手掛けたサウンドノベルとなれば、そのクオリティは折り紙付きです。
「ホラー系のサウンドノベルが大好物だ!」というあなたに、
このゲームの魅力を余すことなくお伝えします。
オカルトとリアルが融合した13の物語
『黒ノ十三』は、
タイトルの通り13本の濃厚な物語が収録されたサウンドノベルです。
システムは『かまいたちの夜』や『学校であった怖い話』に似ており、
画面に表示される文章を読み進め、時折現れる選択肢を選ぶことで物語が分岐します。
ただし、本作には独特な特徴があります。
3つの選択肢のうち、2つがバッドエンドに直行することが多いのです。
そのため、サウンドノベル本来の
「色々な展開を楽しむ」というよりは、
「いかにして無数のバッドエンドを避け、メインルートを攻略するか」という、
緊張感に満ちた体験ができます。
救いようのない暗い展開が多いため、
このゲームに「希望」を求めるのは間違っています。
むしろ、精神が強い人にこそプレイする資格が与えられた、
サウンドノベル界のスーパーヘビー級と言えるでしょう。
物語のクオリティは、サウンドノベル界でも最高峰!
本作の最大の魅力は、
やはり各物語の圧倒的なクオリティの高さです。
サウンドノベルである以上、物語が面白くなければ意味がありません。
その点、『黒ノ十三』は間違いなく一級品です。
「13本も収録されているから、1本1本は短いだろう」と侮るなかれ。
短い話でも40分、長い話になると2時間もかかります。
まるで良質なドラマや映画を見ているかのように、
時間が飛ぶように過ぎていきます。
この没入感は、『かまいたちの夜』や『学校であった怖い話』にも負けないレベルです。
ただし、注意してほしいのは、
その物語のほとんどに救いが存在しないということです。
通常のサウンドノベルならバッドエンドとなるような内容が、
本作では堂々とグッドエンドとして提示されます。
プレイ後には、虚無感や絶望感に襲われるかもしれませんが、
それが『黒ノ十三』の醍醐味なのです。
エンディングのその後に思いを馳せるのも、
このゲームのもう一つの楽しみ方かもしれません。
賛否両論? 独自すぎるバッドエンドの数々
物語のクオリティが最高峰である一方、
バッドエンドのクオリティは最低レベルという、非常にユニークな特徴も持っています。
例えば、
- 「時計を見る」という選択肢を選ぶと、「時計の電池が切れていたので、遠くの時計屋さんに行こうとしたら車にはねられて死亡」
- 「体重計に乗る」という選択肢を選ぶと、「体重計が壊れていたので銭湯に行こうとしたら、石鹸で転んで入院しました」
…といった具合に、理不尽で脈絡のない形で物語が強制終了します。
これでは、サウンドノベルの醍醐味である
「色々な選択肢を試す」という楽しみ方ができません。
しかし、これは製作者の意図的なものなのかもしれません。
「寄り道をせずに、正解ルートを突き進め」というメッセージなのでしょう。
そのおかげで、プレイヤーは一つ一つの選択肢に重みを感じ、
物語に集中することができます。
結果的に、本編の面白さを際立たせる効果を生んでいると言えるでしょう。
私の心を破壊した、衝撃の物語ベスト3
※ここからは、各物語の導入に触れます。新鮮な気持ちでプレイしたい方は、この項目をスキップしてください。
3位:彼女の図書館
不登校になった中学生の少女が、図書館の手伝いを通して成長していく物語。このゲームの中では数少ない、心の安らぎを感じられる癒し系のストーリーです。しかし、バッドエンドは本当に悲惨なので、どうにかしてハッピーエンドを目指したくなります。
2位:運命の扉
下校中の小学生の日常と、銀行強盗をして逃走する青年3人組の物語が交互に描かれ、やがて交錯していきます。まるでサウンドノベルの名作『街』のような面白さです。2時間にも及ぶ大長編ですが、最初から最後まで飽きることなく楽しめました。個人的には、この物語を最後に持ってきてほしかったです。
1位:羽音
女子高生の主人公が、壮絶ないじめに立ち向かう物語。このゲームの中でも群を抜いて暗く、重く、そしてエグい展開が続きます。昼ドラも真っ青のドロドロとした人間関係が描かれており、プレイステーションで発売されたゲームとは思えません。
好き嫌いがはっきりと分かれる物語ですが、この物語をプレイするためだけにこのゲームを買ってもいいと思えるほど、伝説的なクオリティに仕上がっています。精神的に強い方、またはドロドロした人間ドラマが大好きな方には、ぜひ一度体験してほしいです。
鋼の精神を持つ者だけが、このゲームをクリアできる
改めて強調しておきたいのは、
この『黒ノ十三』は精神的に強くない人は
絶対にプレイしてはいけない作品だということです。
なぜなら、物語は一つずつしか解禁されず、
すべての物語をクリアしないと次の物語に進めないからです。
つまり、どう頑張っても、あの「羽音」をクリアしなければなりません。
そして、多くのプレイヤーはここで心を折られてしまうでしょう。
鋼のような強靭な精神を持っている人にだけ、
このゲームを最後までプレイする権利があるのです。
最後に、攻略的なアドバイスを一つ。
最後の12個目の物語を読み始める前に、
必ずセーブデータを残しておいてください。
これを怠ると、クリア後に最終シナリオしか読めなくなってしまい、
他の物語を読み返すことができなくなります。
私もこれをやってしまい、後悔しました。
こんなに「ひどい」サウンドノベルは、今まで遊んだことがありません。
でも、好きなんです。
サウンドノベル史上、最も心を抉られる物語を、今すぐあなたに体験してほしい。
それこそが、今急いで1,470円でこのゲームを買う理由です。
こちらから購入できます
