エリートサラリーマンが全てを捨てて最後の真剣勝負をする

かわぐちかいじさんと福本伸行さん。
この二人の天才漫画家の作品は、
それぞれ異なる魅力で私たちを惹きつけます。
かわぐちさんの作品は、
近い未来に起こりうるかもしれないという絶妙なリアリティと緊張感に満ちています。
一方、福本さんの作品は、
人間の心に潜む悪魔をコミカルに描きながらも、
その結果として多くの人々が破滅していくという、独特の絶望感がたまりません。
そして、この二人の天才がタッグを組んだ幻の作品が、
今回ご紹介する『生存』です。
練り込まれたストーリーと、鬼気迫るイラストが融合した、
最高に上質なサスペンス漫画です。
『生存』とはどんな漫画?
2000年に講談社から発売されたこの作品は、
『沈黙の艦隊』や『ジパング』でお馴染みのかわぐちかいじさんが作画を、『
アカギ』や『カイジ』でお馴染みの福本伸行さんが原作を担当した、
まさに豪華なコラボレーションによって生まれました。
物語の主人公は、
妻に先立たれ、一人娘も14年前に失踪したエリートサラリーマン。
彼は末期ガンで余命半年を宣告され、生きる意味を失っていました。
そんな時、行方不明だった娘の白骨遺体が発見されたとの一報が入ります。
犯人の時効成立が先か、自分の命が尽きるのが先か。
主人公は、娘を殺した犯人を見つけるべく、
人生最後の真剣勝負に出ることを決意します。
今までの人生で、
家族のトラブルから「仕事が忙しいから」と逃げてきた主人公が、
仕事も全て捨てて、娘が残した日記帳を頼りに、
少しずつ事件の真相に迫っていく姿が描かれます。
14年という長い歳月によって薄れてしまった事件の痕跡を、
これまでの償いをするかのように必死に追いかける。
これは、家族の深い愛を描いた、感動的なサスペンスなのです。
「24」や「プリズンブレイク」のような中毒性
この漫画の最大の魅力は、その巧みな展開にあります。
14年前の未解決事件をどうやって解決していくのか、
警察ですら諦めかけていた捜査を、
主人公は娘の日記帳という唯一の手がかりから再開します。
何気ない友達の名前、よく通っていた喫茶店、好きだった画家の名前…。
物語は、小さなパズルのピースを一つずつ集めながら、
事件当日の娘の足跡をたどっていくという形で進んでいきます。
この構成は、まるで『24』や『プリズンブレイク』といった
海外ドラマを見ているような感覚に陥ります。
物語の結末は目の前にぼんやりと見えているのに、
「掴んだ!」と思ったら離れていく。
また近づいては離れていく。
この繰り返しが読者の好奇心を煽り、
「お願いだからまだ終わらないで…」という中毒性を生み出します。
海外ドラマの中には、この中毒性ゆえに物語が長引き、
後半が失速してしまう作品もあります。
しかし、『生存』は違います。
たった3巻という限られたボリュームの中で、
最後まで一切気を抜くことができない、上質なサスペンスを体験させてくれます。
まとめ
かわぐちかいじさんと福本伸行さん。
この二人の天才がまさかタッグを組んでいたとは、
私もこの作品に出会うまで知りませんでした。
練りに練られた福本さんの素晴らしい原作と、
読んでいて苦しくなるほど鬼気迫ったかわぐちさんの作画が融合したこの作品は、
まさに二人の才能が最大限に発揮された名作です。
『生存』は、たった3巻ながらも、
人生最後の真剣勝負に挑む男の姿を通じて、
家族の愛と、過去と向き合うことの大切さを教えてくれます。
最高に熱くて、最高に悲しい、最高の一冊をお楽しみください。
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