最高のアドベンチャーゲームをあなたに

かつて、エヴァのアルバムを聴きながら、何十時間もRPG『オブリビオン』をプレイしていたことがあります。その結果、エヴァンゲリオンの音楽を聴くたびに、人の畑に忍び込んで果物を盗みまくっていた記憶が蘇るようになりました。そのアルバムの中には、当時聞いたことのない「予感」という曲があり、ずっと「なんのエヴァンゲリオンで流れていたんだろう?」と疑問に思っていました。その疑問が2017年にようやく解けました。「鋼鉄のガールフレンドのエンディングテーマだったのか」と。
そんな今回の、アドベンチャーゲームというより豪華なOVAと表現したい作品、『新世紀エヴァンゲリオン・鋼鉄のガールフレンド』の感想です。
『鋼鉄のガールフレンド』とは?:謎の転校生が織りなすエヴァの物語
1998年にガイナックスからPlayStation(セガサターンでも発売)向けに発売されたアドベンチャーゲーム**『新世紀エヴァンゲリオン・鋼鉄のガールフレンド』**は、当時、長らくセガサターンでしかエヴァンゲリオンのゲームが発売されていなかったPlayStationユーザーにとって、待望の一作でした。
本作の目的は、主人公の「碇シンジ」となり、転校してきた謎の美少女「霧島マナ」の隠された秘密に迫ることです。ゲームシステムはオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーで。移動、見る、考える、話すといったシンプルなコマンドを選びながら、イベントを進めていきます。
巨大ロボットが現れた翌日に、突然美少女が転校してくる。その美少女はシンジに一目惚れし、シンジも次第に心を開いていく。しかし、アスカはその美少女を気に入らず、綾波レイは相変わらずあまり喋らない……。この美少女の正体とは一体?
初めて「恋愛」というものに触れ、不安定な心の動きに翻弄されるシンジと、彼を見守るネルフ本部の大人たち。恋を応援する者、妨害しようとする者。エヴァンゲリオンの世界で繰り広げられる、なんとも不思議な恋愛アドベンチャーなのです。
アドベンチャーゲームという名の「豪華なOVA」
このゲームを購入した人の大半は、「エヴァンゲリオンのアドベンチャーゲームが遊べる」という期待を抱いていたことでしょう。様々なコマンドを選んで、自分だけのオリジナルな世界を楽しむ。しかし、実際に蓋を開けてみると、その期待は良い意味で裏切られます。なぜなら、ほとんど選択肢がないからです。
ゲームの基本的な流れは、「イベントシーンが流れる → コマンドを選択して目的の場所に移動する → イベントシーンが流れる…」の繰り返しです。ここまでは他のアドベンチャーゲームと変わりません。しかし、『鋼鉄のガールフレンド』の「イベントシーン」は桁違いです。
一般的なアドベンチャーゲームのイベントシーンは、長くても1分程度でしょう。しかし、本作のイベントシーンは、なんと最長40分以上にも及びます。イベントシーンが始まると、何の操作も受け付けず、ただひたすらに映像を鑑賞するのみ。通常はメッセージスキップ機能などが用意されているものですが(リメイク版ではカット可能)、まさかのノンストップ40分。もはやOVAと呼んでも過言ではないほどのボリューム感とクオリティでした。
最初は3分や5分程度のイベントシーンだったのが、物語が盛り上がるにつれてどんどん長くなり、最終的には40分クラスのイベントシーンを見ることになります。これは完全にアニメです。しかし、驚くべきことに、その長さが全く気にならず、あっという間の40分なのです。改めて「エヴァンゲリオンって本当にすごいな」と再認識させられました。
アドベンチャーを遊んでいる時間が10%、イベントシーンを見ている時間が90%。そんな、アドベンチャーゲームの常識を覆した、まさに異次元のゲーム体験がここにありました。
ほのぼのからのシリアス、それがエヴァンゲリオン
このゲームの前半は、本当にほのぼのとしています。転校してきた美少女がシンジに恋をし、アスカが嫉妬する。まるで青春ラブコメのような展開が繰り広げられます。
しかし、やはりエヴァンゲリオン。そんな展開が最後まで続くはずがありません。物語は嫌な方向へとどんどんと転がっていきます。この「ほのぼのからのシリアス」という流れが、実に見事でした。
ネルフ本部を取るのか、初めてできた彼女を取るのか。そんな二択を迫られるからこそ、物語はさらに深い方向へと進んでいくのです。重要な場面では選択肢が出現し、そこで物語が分岐するのかもしれませんが、分岐点ではセーブができないため、やり直すのが辛かったです。だからこそ、真剣に答えを出す必要がありました。セーブポイントからやり直すにしても、20分以上かかることもあったので、本当に悩みましたね。
「鋼鉄のガールフレンド」というタイトルから、「サイボーグなのかな?」とか「どうせ使徒なんじゃないの?」といった疑念を、あえてゲームの序盤からプレイヤーに植え付けておく。この制作側の巧妙な演出も、最後まで気が抜けない作品に仕上げる要因となっていました。
ほのぼのからのシリアス、そしてシリアスの中にもクスッと笑えるコメディー要素がある。そんな展開が延々と3時間も続くため、購入したその日にエンディングまでプレイしてしまいました。「この後どうなるんだろう?」――そう思わせるだけで、このゲームの勝利と言えるでしょう。
『鋼鉄のガールフレンド』は今すぐ買うべき?
PlayStation初のエヴァンゲリオンゲーム。その正体は、3時間以上にも及ぶ豪華なOVAです。これだけでもすごいと思いませんか?
「どうせこういう展開になるんでしょ?」というプレイヤーの予想を裏切っていく制作側の意地悪さ。これこそがエヴァンゲリオンですよね。ぜひ体験してみてください。
このゲームには、PlayStation 2で発売された「特別篇」もあります。私自身もPlayStation版を先に購入した後、特別篇の存在に気づき、そのまま通販で購入しました。パワーアップ版だと思われるので、PlayStation 2を持っている方は、いきなり特別篇に挑戦するのも良いでしょう。PlayStation版をプレイしてから、どこがパワーアップしたのかを発見していくのも、また違った楽しみ方ができるかもしれません。PSPにも移植されていますので、PSPをお持ちの方もぜひ。
アドベンチャーゲームであり、豪華なOVAでもある『新世紀エヴァンゲリオン・鋼鉄のガールフレンド』。その独特な体験こそが、今すぐ手に入れる理由です。
今日も
レトロゲームとマンガとももクロとを
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