読み進めるほどに真実がねじ曲がる!
[新たな人生を歩む前に、あの事件の真相をはっきりさせよう]
「ねえ、あなたが、あの日、あの人を殺したの?」
もし、あなたと一年間も共に暮らしたパートナーに、
最後の別れの日にこう尋ねられたら、どう感じますか?
そして、もし自分もまた、同じように相手を疑っていたとしたら…?
恩田陸さんの
『木洩れ日に泳ぐ魚』は、そんな衝撃的な問いかけから始まる、
新感覚のミステリー小説です。
2010年に文藝春秋から発売されたこの作品は、
二人の男女が互いの記憶を探りながら、ある殺人事件の真相に迫っていく物語。
この記事では、
この小説が持つ唯一無二の魅力と、
読者を惹きつけてやまない巧妙な仕掛けについて、熱く語っていきます。
木洩れ日に泳ぐ魚とは? 密室で繰り広げられる記憶の攻防戦
この『木洩れ日に泳ぐ魚』は、
恩田陸さんによって書かれた、心理ミステリー小説です。
物語の舞台は、
明日からお互い別々の人生を歩むことになった男と女が過ごす、最後の夜。
二人が暮らすアパートの一室という、限られた空間(密室)で物語は展開します。
- 男は、女が殺人犯ではないかと疑う
- 女もまた、男が殺人犯ではないかと疑う
互いに相手を犯人だと思いながら、
別れの夜に、お酒の勢いもあって、ついにその疑問をぶつけ合ってしまうのです。
ここから、二人の記憶の攻防戦が始まります。
- 男が「あの時君は、ああだったよね?」と問いかければ、女は当時の記憶をたどりながら反論する。
- 今度は女が「あなたは、なぜあんなことをしたの?」と尋ね、男が当時の行動の真意を語る。
まるで野球の攻撃のように、
互いに球を投げ合い、反撃し合う様は、読んでいて最高にスリリングです。
一年間も共に暮らした相手が、
もしかしたら殺人犯かもしれない…そんな極度の緊張感が、
この作品を唯一無二のミステリーにしています。
ミステリー?恋愛?ホラー?ジャンルを軽々と超える衝撃の展開
この小説の最大の魅力は、
ただのミステリー小説ではない、ジャンルを超えた物語にあります。
1.甘く切ない「恋愛小説」パート
物語は、殺人事件の真相に迫るばかりではありません。
事件が起こる前、二人が出会い、共に過ごした「甘い時間」も描かれています。
このパートは、ミステリーであることを忘れるほど、純粋な恋愛小説として楽しめます。
しかし、この甘い時間があるからこそ、
その後の「殺人を疑う関係」が、より恐ろしく、より切なく感じられるのです。
2.背筋が凍る「ホラー小説」パート
物語の後半、
それまでのミステリーや恋愛の雰囲気が一変し、
ホラー小説のような怖さが急激に増していきます。
読めば読むほど、何が現実で何が虚構なのか、わからなくなっていく感覚。
登場人物たちの精神が蝕まれていく様は、まさにホラーそのものです。
「もし、この登場人物は二重人格で、アパートの一室ではなく病院で妄想しているだけだったら…?」
そんなホラー映画のような展開を予想してしまうほど、
この小説は読者に深い恐怖を与えます。
恩田陸さんの作品には、
ミステリーに隠されたホラー要素が散りばめられていることが多いですが、
本作はそれが特に顕著です。
一つの小説で、
ミステリーの謎解き、恋愛の甘さ、ホラーの恐怖、そのすべてを体験できる。
そんな贅沢な読書体験が、この作品には詰まっているのです。
まとめ
私が小説の感想を書き始めたのは、
恩田陸さんの作品に魅了されたのがきっかけでした。
この『木洩れ日に泳ぐ魚』も、期待を裏切らない傑作でした。
- 二人の会話だけで進む、斬新なミステリー
- 展開がまったく読めない、驚きと興奮
- 恋愛、ミステリー、ホラーを巧みに融合させたストーリー
これらの要素が、この小説を特別なものにしています。
恩田陸さんの作品が好きな方はもちろん、
これからミステリーを読んでみようと思っている方にも、ぜひ読んでほしい一冊です。
この小説をきっかけに、
恩田陸さんの作品の感想をどんどん追加していきたいと思います。
もし好きな作品があれば、ぜひ一緒に楽しみましょう。
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