レトロゲームとマンガとももクロと

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記憶を越えた感動がそこにある。『新桃太郎伝説』は和風RPGの王様だ

記憶を越えた感動がそこにある。『新桃太郎伝説』は和風RPGの王様だ

ゲーム人生の90%以上をゲームに費やしてきた私ですが、

一つだけこだわってきたことがあります。

 

それは、心から愛する名作は、

安易に再プレイしないということです。

 

一度だけの最高の記憶として心に刻み、生涯の思い出として残しておきたい。

 

特にストーリーが濃厚な作品は、

当時の感動を薄れさせたくないという思いが強いからです。

 

そんな中でも、ひときわ強い思い入れがあったのが、

今回ご紹介する『新桃太郎伝説』です。

 

たった一度、20年以上前にプレイしたきり、

封印してきたこの和風RPGの王様。

 

当時感じた衝撃と感動が、果たして今も通用するのか。

 

そんな少しの不安と大きな期待を胸に、

再び鬼ヶ島へ向かう冒険の旅に出ました。

 

これはただの懐古趣味ではありません。

 

20年の時を超えて、このゲームが持つ真価を再認識する旅でした。

 

 

『新桃太郎伝説』の偉大なる系譜

 

『新桃太郎伝説』は、

1993年にハドソンから発売されたスーパーファミコン用RPGです。

 

ファミコンで桃太郎伝説が始まり、

PCエンジンで桃太郎伝説IIが発売され、

そして満を持してスーパーファミコンに登場したのが本作でした。

 

この『新桃太郎伝説』こそが、

シリーズの中でも人気、実力ともにトップクラスに位置すると言われています。

 

物語は、前作で閻魔大王を改心させた桃太郎が、

鬼と人間が共存する平和な世界で暮らす6年後から始まります。

 

しかし、平和は長くは続きませんでした。

 

ずるがしこい妖怪「カルラ」が地獄全土を巻き込み、

人間たちに復讐を企てたのです。

 

桃太郎は、再び仲間たちと共に、

日本各地で巻き起こる危機を解決するために旅に出ます。

 

ゲームシステムは、王道的なコマンド選択式RPG。

 

例えるなら『ドラゴンクエスト』に近いタイプです。

 

しかし、そこにはハドソンとさくまあきら氏の遊び心が満載でした。

 

桃太郎の人気システム

 

本作では、ゲームの進行に応じて「桃太郎の人気」が上下します。

  • 人気が上がる行為: 各地のボスクラスの鬼を倒す、仙人の修行を一回でクリアする。
  • メリット: 宿泊料金が半額になる、アイテムを値引きしてもらえる、レアアイテムが購入可能になるなど、スーパースターならではの恩恵が受けられます。

一方で、人気は簡単に下がってしまいます。

  • 人気が下がる行為: 敵から逃げる、仲間を戦闘不能にする、嘘をつく、女湯を覗く。

桃太郎らしからぬ行為をすると、せっかく上げた人気が急降下します。

 

このシステムのおかげで、

プレイヤーは自然と「桃太郎らしく」振る舞うようになり、

ゲームの主人公になりきって遊ぶ楽しさが何倍にも膨れ上がります。

 

天気と絶好調システムがもたらす戦略性

 

フィールドには「天気」の概念があり、場所によってコロコロと変わります。

 

雷雨の日は雷の術の威力が上がったり、

雨の日はカエルの敵が強くなったり、

日本晴れの日は技の消費量が半減したりと、

天候に合わせて戦い方を変えるのが重要でした。

 

さらに、本作の最も重要なシステムが「絶好調」です。

 

フィールドを歩いていると、

突然キャラクターの頭の上に星が輝き、能力が飛躍的にアップします。

 

普段20ダメージしか与えられない攻撃が80ダメージになったり、

敵の攻撃を無傷で受け止めたりと、その恩恵は絶大です。

 

この絶好調状態をいかにボス戦に持ち込むかが、攻略の鍵を握っていました。

 

 

再プレイで直面した、鬼畜なバランス

 

『新桃太郎伝説』は、優しい見た目とは裏腹に、

非常に厳しいゲームバランスでも有名です。

 

ゲームの序盤、

桃太郎とスリの銀二の二人旅は、非常に快適です。

 

銀二はアイテムを大量に持てるため、

回復アイテムを気にせず冒険できます。

 

しかし、お供のキジが仲間になった瞬間、

銀二は「あっしは先に村に行ってます」というメッセージを残して去ってしまいます。

 

大量のアイテムを残したまま、

桃太郎はたった一人、強さが変わらない敵と戦うことになるのです。

 

ここで多くのプレイヤーが直面するのが、

金太郎を仲間にするまでの地獄のような旅です。

 

桃太郎が死ぬと即ゲームオーバーというシビアなシステムの中、

敵の「痛恨の一撃」で一瞬にしてゲームオーバーになることも。

 

金太郎がいるダンジョンは目の前なのに、

その凶悪な難易度に行くことすらできず、泣く泣くセーブポイントに戻る。

 

当時の私は、このスパルタなバランスに何度も心が折れそうになりました。

 

そして、再プレイでも、この難易度は健在でした。

 

思わず「銀二がいる間にレベル上げしておけばよかった…」と後悔したものです。

 

しかし、この苦難を乗り越えれば、ゲームのバランスはだいぶ落ち着きます。

 

金太郎が仲間になると、頼もしい戦力が増えるだけでなく、

敵全体に会心の一撃を繰り出す「ろっかく」という

ぶっ壊れた術を覚えることができます。

 

この術を覚えた瞬間、雑魚戦はほとんど苦にならなくなり、

ゲームの難易度は一気に下がります。

 

しかし、それがゲームの面白さを損なうことはありませんでした。

 

強力なボス戦は健在ですし、

「オニよけ」の術を多用すればお金が足りなくなるなど、

絶妙なバランスが保たれていたからです。

 

序盤のスパルタな難易度設定も、

このゲームが「和風RPGの王様」と呼ばれる所以なのでしょう。

 

 

謎解きと仲間集めがもたらす無限の魅力

 

『新桃太郎伝説』の真の魅力は、

随所に仕掛けられたパズルのような謎解きと、個性豊かな仲間たちにあります。

 

頭がジンジンするほどの謎解き

 

虹色の岩を正しい順番に並べたり、暗号文を解読したり、

行方不明になった仲間を探したりと、

本作はプレイヤーの頭脳を試すパズル要素が満載です。

 

改めてプレイして驚いたのは、

「当時の自分は、どうやってこんな難しい問題を解いたんだろう…」ということでした。

 

子供の時の方が頭が柔らかかったのか、

攻略情報なしでは10時間以上も悩むほどの難問ばかりでした。

 

しかし、その分、難問を解いた時の達成感は最高で、

RPGをプレイしているのか、

激ムズパズルゲームをプレイしているのか分からなくなるほど、夢中になりました。

 

仲間を集めるRPGにハズレ無し

 

ゲーム中盤で巨大な城を手に入れると、

そこに桃太郎伝説お馴染みのキャラクターたちが全国各地から集結してきます。

 

今までは敵やライバルだったキャラクターたちが、

今度は頼もしい仲間として共に戦ってくれるのです。

 

あしゅら、風神、雷神、はらだし、あまのじゃく、貧乏神、福の神…など、

個性豊かなキャラクターが多数登場します。

 

貧乏神を99レベルにするとキングボンビーに変身するという都市伝説も、

当時、多くのプレイヤーが夢中になって検証したものです。

(みんな、貧乏神の名前を「えのもと」にするのもお約束でしたね。)

 

その中でも、特にチート級の強さを誇るのが、猿のボス「ましら」です。

 

彼は、ピアノの鍵盤を弾いて特殊な技を使用するという、

まるで攻略情報ありきのキャラクターですが、その強さは反則級でした。

 

毎ターン全員の攻撃力が上がる技や、

自分の攻撃力分だけランダムで敵全体にダメージを与える技は、まさにぶっ壊れ性能。

 

桃太郎の攻撃が40ダメージの時に、

全体に170ダメージを叩き出すましらの活躍は、

23年間知らなかった自分を悔いるほどでした。

 

それまで浦島太郎や夜叉姫が王道だったパーティーメンバーが、

「桃太郎、ましら、浦島太郎、夜叉姫」という異色な組み合わせに変わってしまうほど、

ましらの存在は大きかったのです。

 

 

コミカル路線を捨てた、容赦ないストーリー

 

桃太郎伝説といえば、本来はコミカルな作風が魅力です。

 

しかし、『新桃太郎伝説』は、その路線を真っ向から否定します。

 

本作から登場する妖怪「カルラ」は、

その冷酷さでプレイヤーの心を逆撫でします。

 

その雰囲気はまるで『ドラゴンボール』のフリーザのよう。

 

コミカルなRPGだと思っていたのに、

まさかのガチな悪役の登場に、当時の私は衝撃を受けました。

 

従来の桃太郎伝説なら助かったであろう人々を、

容赦なく抹殺していくバイオレンスな展開は、

もはや『リンダキューブアゲイン』を彷彿とさせるほどでした。

 

「どうした、さくまあきら、全く笑えないぞ!」と叫びたくなるほどの

圧倒的なシリアスな物語に、プレイヤーは引き込まれていきます。

 

特に最後のエンディングは、

安易な続編を許さないほどの重い結末を迎えます。

 

だからこそ、この作品は伝説として終わることができたのかもしれません。

 

エンディングで流れる初代桃太郎伝説のパスワードの曲を聴きながら、

「やっぱり『新桃太郎伝説』は、和風RPGの王様だったな」と、

23年間の思い出を噛みしめました。

 

 

リメイクは不要、バーチャルコンソールでの配信を

 

多くの人に

「大人になってから遊ぶと、もっと楽しめる」と勧められてきた『新桃太郎伝説』。

 

長年の思い入れから躊躇していましたが、

その封印を解いて本当に良かったと思います。

 

予想をはるかに上回る面白さの連続。

 

過去にプレイしているはずなのに、

それでも衝撃を受ける戦闘の難易度。

 

10時間もかかった謎解き。

 

そして、35時間では絶対に遊びつくせない豊富なやり込み要素。

 

そのすべてが、このゲームが今なお多くのプレイヤーを虜にしている理由です。

 

私の願いはただ一つ。

 

変なリメイクは絶対に出さないでほしい。

 

この完成された物語を安易にいじる必要はありません。

 

しかし、バーチャルコンソールでは絶対に配信してほしいのです。

 

なぜなら、今の子供たちにこそ、

この偉大な和風RPGの王様をリアルタイムで体験してほしいからです。

 

ライトなRPGではありません。

 

プレイ後に「ああ…、本当に凄かった…」と思わずつぶやいてしまうほどの

ヘビーな作品です。

 

だからこそ、絶対に、絶対に遊んでほしい。

 

『新桃太郎伝説』こそが、和風RPGの王様

 

その意味を自分で遊んで理解してみてください。

 

 

こちらから購入できます