恐怖のメーカー「バップ」が仕掛けた、もう一つのトラウマ 絶望に抗うローグライクRPG

ゲームメーカーの名前を聞くだけで、背筋が凍るようなメーカーが存在します。
伝説のクソゲー『デスクリムゾン』を生み出した「エコール」はその代表格でしょう。
しかし、ファミコン世代にとって、
それ以上に恐れられていたメーカーがあります。
それが「バップ」です。
あまりのひどさに逆に愛された『スーパーモンキー大冒険』。
ゲームとして、踏み込んではならない領域に足を踏み入れた『TAO・道』。
これら二つの伝説的なクソゲーを生み出したのが、このメーカーでした。
そんなバップが、まさか『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』のような
ローグライクRPGを制作していたとは、一体誰が想像したでしょうか。
本来、ローグライクというゲームシステムは、そう簡単にクソゲーにはなりません。
しかし、あのバップが作れば、優秀なゲームシステムですら、
とんでもない作品へと変貌を遂げてしまうのです。
「絶対に面白いゲーム」のはずだった…
1996年にプレイステーションで発売された『王宮の秘宝テンション』は、
一見すると、ローグライクRPGの王道をいく作品です。
プレイヤーは、トレジャーハンター「テンション」となり、
失われた「レインボーダイヤ」を求めて、7つのダンジョンを冒険します。
- 入るたびに構造が変わる、ランダムダンジョン。
- 自分が動けば敵も動く、ターン制のシステム。
- フロアに落ちている、未知のアイテムへのワクワク感。
ローグライクの面白さの全てが、このゲームには詰まっているように見えました。
しかも、このゲームには、
他のローグライク作品にはない、大きな特徴がありました。
「死んでもレベルが下がらない」
装備品やアイテムは失われますが、
「これなら、何度でも挑戦できる!」
「レベルを上げて、ゴリ押しでクリアできるぞ!」
そう思ったプレイヤーは、きっと多かったはずです。
しかし、その甘い期待は、たった10分で裏切られることになります。
ローグライクの常識を覆す、3つの絶望ポイント
なぜ、このゲームは「クソゲー」と称されるのでしょうか?
それは、ローグライクの優秀なシステムを、
バップが独自の解釈でひっくり返してしまったからです。
- 序盤のダンジョンに隠された罠
ゲーム開始時に選べるダンジョンは3種類。
「どのダンジョンから攻略しようか?」というワクワク感が生まれるはずが、
その実、行けるダンジョンは1つしかありません。
推奨レベル1、推奨レベル5、推奨レベル10と、難易度が一目瞭然だからです。
そして、このゲームの真の絶望は、この序盤のダンジョンにありました。
なんと、特定のイベントをクリアするまで、
死んだらレベルが1に戻されるのです。
30分かけてレベル6まで上げたのに、
不意の事故で死んだら、また最初からやり直し。
これが、鍛えた装備が残るならまだ救いがあります。
しかし、失うものはあまりにも大きすぎました。
- 1階から泥棒が出現する狂気
ローグライクRPGには、
自分のアイテムを盗んでいく「泥棒」のような敵が存在します。
しかし、普通はゲームの中盤以降、
プレイヤーが強力なアイテムを手に入れた頃に出現するものです。
しかし、『王宮の秘宝テンション』では、ダンジョンの1階から泥棒が出現します。
せっかく拾ったアイテムを、開始早々かっさらわれる絶望。
さらに、ダンジョンが進むごとに泥棒のスピードは加速し、
最終的にはほとんど追い付けなくなります。
「いらないアイテムをたくさん持って、おとりにしておく」という
攻略法が生まれるほどの、狂ったゲームバランスでした。
- 往復しなければならないダンジョン
このゲームの最も理不尽な点は、
ダンジョンの最下層にたどり着くだけではクリアにならないこと。
自力で地上に戻ってこなければならないのです。
リレミトのような脱出アイテムは存在しないため、
行きは良い良い、帰りは怖い…という状況になります。
最初のダンジョンは往復で30分程度ですが、
階層が増えるにつれて、往復の時間はどんどん長くなります。
行きはアイテムが落ちていますが、帰りは何もありません。
たった一度のミスで、何時間もの苦労が水の泡になる。
「帰るまでが遠足」という理不尽なルールが、プレイヤーの心をへし折りました。
1%の人間だけが知る、このゲームの本当の面白さ
ここまで読んで、「なんてひどいゲームだ!」と思った人は、
きっと100人中99人はいるでしょう。
しかし、このゲームには、
残りの1人だけが知る、中毒性のある魅力がありました。
それが、「コツコツとレベルを上げて、無双する快感」です。
死んでもレベルが下がらない(後半は)、というこのゲームの特性を逆手に取れば、
ウィザードリィのような「稼ぎ」の楽しみが生まれます。
- 簡単なダンジョンでレベル上げとアイテム稼ぎを繰り返す。
- 鍛えた装備と十分なアイテムを持って、次のダンジョンに挑む。
- 新しいダンジョンをクリアしたら、そこが新たな稼ぎ場となる。
この地道な繰り返しが、
ウィザードリィ好きの私には、たまらなく面白かったのです。
テストプレイをしたのか疑うような鬼畜なゲームバランス。
しかし、そのバランスを圧倒的な戦力でねじ伏せるのが、
このゲームの最高の楽しみ方でした。
「一度クリアできたダンジョンは、もはや楽園である」
この真理を悟った時、
私はこのゲームが「クソゲー」ではなく、
自分だけの「名作ゲーム」に変わったことを確信しました。
王宮の秘宝テンションのまとめ
なぜ遊んでほしいのか?
最初の30分間は、
きっと「お金を返してくれ!」と叫びたくなるでしょう。
しかし、その絶望を乗り越えた時、
あなたは「バカゲー」を愛する1人になれるかもしれません。
何がそんなに面白いのか?
理不尽なゲームバランスに正面から反抗し、圧倒的な力でねじ伏せる。
この「反骨精神」こそが、このゲームの最大の醍醐味です。
今急いで買う理由ってあるの?
『スーパーモンキー大冒険』『TAO・道』と並び、
「バップ三種の神器」と称されるこのゲーム。
伝説のクソゲーメーカーが、ローグライクというジャンルで何をしてくれたのか、
その全貌をぜひあなたの目で確かめてみてください。
あなたは、この絶望的なダンジョンに、立ち向かう勇気がありますか?
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